
ともいってすっごくいいともいます
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(その手を見せてくれ 少年)
一年ほど前ならば憧れの選手ですと迷い無く答えていただろうが今は嫌いだった。大嫌いだった。時間がたつごとに嫌いという感情だけが降り積もり天秤はやたらめったら傾いて、そうしていつの間にか大嫌いになってしまった。地区大会では何度かあたったことがあるし、彼の所属するチームの試合があるときは、せがんで応援に行った。彼が投球をしている様は、いい。どきどきする。特に、ランナーが塁に出たときでも、あせらず丁寧なピッチングをするのにはとても好感を持っていた。胸のすくようなストレート、あれがミットに収まるときの音が心地よかった。自分とおなじ、スライダーを投げているのもお揃いのようで嬉しかった。本当に、あこがれていたんだ。
「キミが次の対戦相手?」
初めて話しかけられたときは、頭が真っ白になった。いつもとおくから見ているだけだった彼。それくらい嬉しかったんだ。
「あっ、は、はい、」
「ふうん」
驚いて口ごもる自分に、彼は値踏みするような視線を向けた。目を細めて顎をそらす、明らかに格下のものに向ける視線。見下されている。そう思った瞬間カッと体が熱くなった。それは恥ずかしさにか、いたたまれなさにか、憎しみにか憤りにか、そのときの自分には分からなかった。
「まあせいぜい頑張ってくれよ、どうせ勝つのはボクだし」
「えっ」
「早めに帰り支度をしておいた方がいいかもね!」
彼の高笑い、去ってゆく背中を自分は呆然と見送った。手のひらにたくさん汗をかいた。心の奥底を針金でほじくられているよ うな、じくじくとしたみじめな気分だった。彼への憧憬はゆで卵の殻を剥くがごとくの容易さでひび割れ、中からどろりとした渦のようなものが露呈した。
なんだ、あいつ。
素直にそう思った。
「友沢?」
肩をたたかれて反射的に振り返った。黒いユニフォーム、見知った顔のチームメイトが不安げに見つめてくる。年は確か、ひとつふたつ上だったか、あまり良く覚えていない。
「大丈夫か」
「な、何が」
「今の、猪狩守だろ」
あいつはかっこつけでいつもむかつくことばっかり言ってくるんだ、勝ったらすげー自慢してくるし、負けたら言い訳ばっかりだし、練習にもあんまりこないらしいぜ、おれはあいつ嫌いだよ、でも今年でいなくなるからよかったよな
試合は0-5で負けて、それっきり猪狩守と会うことはなかった。
彼が投球する様は美しかった。格好良かった。あんなピッチャーになりたいと思っていた。彼への羨望は確かにあったはずなのに、だけれども彼を見るだけでどろどろと汚いものを注ぎ込まれているような気分になった。小学校中学年になり高学年になり中学生になってもそれは変わらなくて、むしろ心に注がれた汚いものはがっちりと固まって重く沈んでいき、その存在が当たり前のようになった。野球雑誌で彼の特集が組まれ適当なことを書かれていても、彼に関する根も葉もないようなただの噂話のようなものを聞いても、特に何も思わなかったし反発する気持ちも起きなかった。
そうだよ。あの人は傲慢で自慢ばかりして人の気持ちを考えない嫌な奴だ。
オレはあの人が嫌いだ。
もうずっと長い間。
ずっと、ずっとキライだった。
スポーツ用品店に来ていた。別にウインドウショッピングが趣味というわけじゃないけれど、なにかスポーツの、練習機材だの道具だの、そういうものを見るのが好きだった。強くなるために、上を目指すために考えられて作られたものたち。蛍光灯の光を反射するその無機質な輝きには神聖さすら覚える。
あの時、テレビにはプロゴルファーの大会の様子が映っていた。数多の激戦を潜り抜けてそこに立っているだろう彼ら。彼らもこんな道具を使って、血反吐を吐くほど練習したのだろうか。
彼は。
(積み重ねた努力は、嘘をつかない)
目をつぶって、そう言った彼の声を思い出した。握るてのひら。感じるのは自分の体温だったけれど、あのときの感触を鮮明に思い描ける。自分と同じくらい、いや自分よりもずっと、硬くて、引き攣れて、まるで違う生き物にでも変貌してしまっているんではないかとさえ思わせるあの手。その中でも、異様なまでに爪が綺麗だった。硬質な親指を美しく削られた爪が覆っていて、その指がゆっくりとオレの手のひらをなぞっていく。
かなり野球の練習をしているようだね。
彼はそんなことを言った。
あなたこそ。
あなたこそだ。
オレは、そのとき何もいえなかった。彼のマウンドに立っている姿とか、憎たらしい微笑みだとか、彼の経歴だとか、他人の評価、そういうものじゃない。野球選手として生きている猪狩守を、血の通った猪狩守というものを、あのとき初めて感じた。
野球だ。彼は、野球をしている。ただそれだけの、どうしようもなく強烈なイメージだった。
あの、傲慢な彼も嫌味な彼も確かに彼の一部で、好きか嫌いかを聞かれたら嫌いと答えるしかないけれど。それでも彼のしている野球を知りたいと思った、ひとりの野球選手として、彼と向き合ってみたい。そのときの猪狩守は、自分の目にどう映るのかを知りたかった。そして自分は彼からどんな風に見えるんだろう。
握り締めていた指をそっと解く。リトルの試合で彼と、初めて会ったあの時から、随分強くなったし背も伸びた。目標にはまだまだだったけれと確実な手ごたえを感じる。自分の手が、あの彼のようになったなら。また会えるだろうか。そのときはきっとプロの舞台だ。
目を開く。改めて見た世界はなんだか違うものに思えた。この世界のどこかで、彼と対峙する自分を想像したらうめき声がこぼれた。今すぐにでも走り出したい気分だった。
心の底にたまっていた何かが、少しだけ崩れるのを感じた。
(01.初めて会った日)
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友猪がデレるのはカイザース日本一後だと思ってたんだけど、ゴルフイベントみたら最初から内心デレデレだったんじゃね?って感じになりますね
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ふるえてなきました
どうして藤原さんの友猪ってこんなにこんなに…ぶわああああああああああ
友沢ぜったいスライダー守さんと一緒でうれしいなって思ってますよね…くそっあいつほんとかわいいな
守さんって初対面の印象ほんと悪そうですよね…
わざとそうしてるのか、気にしたこともないのかそこは定かじゃないですけど
ほんと握手神ですよね…これだけで2人が2人を一瞬で理解してしまう。お互い根っからの野球人であって、ほんと、言葉はいらないんですよね
というか2人も口ベタ(守さんも本心は奥底に隠してるようなイメージで…)な気がして
野球でしか人との距離感的なものを測れないようなそんな不器用な2人がS・U・K・I…
2011って友沢の波乱の運命フラグで終わっちゃってくっそくっそって思ってたんですけど
(甲子園応援行けよ準決であかつきとふにゃふにゃするときに友沢と守さんでもうひと絡みしろよとか)
藤原さんがすべてを補完してくれました。世界が平和になりました。
もうわたし決定版でこのイベント増やせよとかいいません。ともいってすっごくいいともいます
これ以上の友沢と守さんの出会いが思い浮かばないですね。これが公式ですからね。ほんと、どうしましょうね